月経について
月経
月経(げっけい)は、成熟した人間の女性および高等霊長類のメスの子宮から周期的に起こる、生理的出血である。正式な医学用語は月経だが、生理(せいり)、女の子の日、メンス、アレなど様々に呼ばれる。
月経は、思春期に始まり(初潮)、個人差はあるが、閉経時期までの間におよそ28日周期で起こり、通常3〜7日間続く(正常月経周期:25〜38日)。
月経周期
子宮壁の最内層は、子宮内膜と呼ばれる特徴的な粘膜層で、卵巣が分泌するホルモンの影響を特に強く受ける部位である。ヒトの女性では月経周期に伴って周期的な変化をすることが知られる。この月経周期とは、月経開始日を1日目として、次の月経が開始する前日までの日数をいう。月経周期は個人差はあるが、閉経時期までの間におよそ28日周期で起こり、通常3〜7日間続く(正常月経周期:25〜38日)。
月経周期には卵胞期と黄体期があり、卵胞期には卵巣内で下垂体前葉が分泌する卵胞刺激ホルモン (FSH) の影響で卵胞が成長し、子宮内膜が厚くなる。同時に分泌を促されたエストロゲンの血中濃度が高まると下垂体前葉から黄体刺激ホルモンが分泌され、排卵が起こり黄体が形成される。
この黄体が形成される時期からは黄体期と呼ばれる。黄体は平均14日間活動を維持する。しかし排卵した卵子が受精しなかった場合、やがてエストロゲンなどの分泌が低下し、子宮内膜が脱落する。そして血液とともに子宮口、膣を経由して体外に排出されるのが月経である。そのため妊娠すると、出産の数か月後まで月経は停止する。
一般的に、月経と同時かその数日前から不快な症状を感じる女性が多い。月経前緊張症候群、生理痛と呼ばれる。
排卵性月経
無排卵性月経
月経前症候群
症状
月経前症候群 (PMS) とは月経の3〜10日前に身体、精神症状が出現し、月経開始とともにその症状が減退、消失するものである。身体症状としては乳房痛、乳房緊満感、腹部膨満感、頭痛(特に片頭痛)、四肢の浮腫、腹痛などが知られている。精神症状としては、イライラや抑うつ状態、不安感、易興奮性などが知られている。
治療
イギリス月経前症候群協会のガイドラインによれば以下である[3]。まず栄養改善と定期的な運動が勧められる[3]。第2段階として、ヨガや瞑想などのストレス管理、カウンセリングなどのサポート、チェストツリーやイソフラボンやセントジョーンズワートによる補完療法、またビタミンB6やマグネシウムやカルシウムの補充である[3]。その次の段階で重症のものではSSRI系抗うつ薬や、月経周期を抑制するために経口避妊薬やホルモンのエストラジオールのパッチである。
初潮
生まれて初めての月経を初潮(しょちょう)、または初経(しょけい)と言う。古くは「初花(はつはな)」とも言われた。初経時の印象がその後の月経感に影響し、よい印象がなかった人は月経前症候群 (PMS) や月経痛が多いという研究結果がある。
年齢
初潮の数ヶ月前から透明又は白色の帯下の増加が見られるようになった後、初潮が発生する。初潮の平均年齢は12.24歳前後で、大部分は年齢で10歳から15歳の間、陰毛が発育し始めてから一定後、身長の伸びが低くなり始めた頃に発生することが多い。
9歳未満は思春期早発症。10歳未満は早発月経と言われ、低身長の原因になる恐れがあり、医師による診断を受けたほうが良いという。16歳以上は遅発月経と言われ、いつまでも発来がないままだと無月経症になる恐れがあり、これも医師による診断を受けたほうが良いという。
妊娠
「初潮=子供が産める体」になったという風に受け取られがちだが、始まっても1-2年間は周期は不規則で排卵が無い(無排卵性月経)場合が多く、妊娠の可能性が低い。排卵すると、10歳以下でも妊娠するケースもあり、最年少出産記録で知られるリナ・メディナは5歳7ヶ月21日で出産した。
成長
思春期開始から初経の1年以上前は乳房の発達開始(乳頭期、後に乳輪期)や外陰部の発達し始めなど、大人の体型へ変化し始めで、骨盤が前傾傾向(女児型)のままなど、まだ子供の体型に近いが、初経を挟む前後1年間は乳房全体が膨らみ始め(第1乳房期、後に第2乳房期)、骨盤が前傾傾向から直立傾向(女児型から女性成人型)に転換し始めることから腹がまっすぐになり、ヒップが大きくなり始めるなど急激に体型が変化し、初経の1年後以降になると骨盤が直立傾向(女性成人型)となり、大人の体型に近くなる(乳房は形成期)。乳房は途中で初経を挟む約4年間で発達する。初経時は身長の伸びのピークが過ぎており、初経後はあまり身長が伸びなくなる。膣径は白人の場合思春期前は8cm以下であるが、初経発来時には11cmに拡大する。
病気
初経前後は脊椎側彎症の発症が多いとされている。
閉経
閉経時期(更年期)を迎えると、女性の体はホルモン分泌が変わり、月経は不規則になり、やがて停止する。多くの場合、50歳前後で閉経する(日本人女性の平均閉経年齢は約50歳である)。正常閉経の定義は、40歳〜54歳となっている。それより早く45歳以前に閉経する場合を早発閉経、55歳以上の場合を晩発閉経と呼ぶ。動詞で「上がる」とも称する。
閉経まで排卵が続く場合もあるが、早い者では40歳代前半には排卵がなくなり、無排卵のままホルモンバランスによる月経が閉経まで起こることがある。
閉経をはさむ前後5年ほどの時期を「更年期」と呼ぶ。月経の停止以外に、ホルモンバランスの変化や心理影響によって、色々な自覚症状をおぼえる女性もいる(更年期症状)。
長期間にわたり喫煙を続けると閉経が早くなるという報告がある。
処置
月経期間中は、子宮から膣を経て体外に経血が排出される。女性はこの出血を自分でコントロールできないため、なんの処置もしないでいると、下着や衣服を汚してしまい支障がでる。そのため、排出される経血を吸収するために、ナプキンやタンポンのような生理用品を使用する。ナプキンなどをより快適に使用するために生理用ショーツを着用したりもする。月経の処置、生理用品の使用方法などは小学校の性教育の中でも触れられる(保健体育の授業のみ男女別学となるのもこの頃から)。乳房が乳輪期から第1乳房期へ移行すると近いうちに初経が生じるため、ステップ2用のジュニアブラ着用と共に生理用品・おりものシートの準備が必要となる。
ナプキンは綿を吸収体とした厚型のものがかつては主流であったが、現在は薄型で吸収力の高いポリマーを使用したものが利便性から普及している。使用済みの生理用品は、トイレでは便器には流さず備え付けのサニタリーボックスに廃棄する(流すと下水配管を支障する)。
繰り返し使えるものとしては布ナプキンがあり、ナプキンが普及する前は、ぬか袋なども使用されていた。その他、海外では月経カップも古くから市販されているようだが、日本国内においては現在(2011年10月)インターネット上でしか見かけない。
タンポンについては1970年代、毒素性ショック症候群(トキシックショック症候群)によりアメリカで死亡事故が相次いだ。これは十分に消毒されなかったタンポンを長時間挿入していたことにより膣内で黄色ブドウ球菌が繁殖したものによる。現在でもタンポンの使用説明書に長時間の使用をしないように記述がある。
月経異常
月経不順(=月経周期 (menstrual cycle) の異常)
月経が始まった頃は、月経周期は安定せず、数か月起こらなかったりすることもよくある。
月経周期の異常
頻発月経/経早/月経先期:月経周期が異常に短縮する(24日以下)
稀発月経/経遅/月経後期:月経周期が異常に長くなる(39日以上)
不正周期月経/経乱:月経周期が不定期なもの(毎回の変動が7日以上)
月経持続期間の異常
過短月経 (too short menstruation):出血期間が異常に短縮する(2日以下)
過長月経 (too long menstruation):出血期間が異常に長くなる(8日以上)
月経量の異常
過少月経 (hypomenorrhea):20ml未満
過多月経 (hypermenorrhea/menorrhagia):140ml以上
無排卵月経
一見すると定期反復的な出血が見られるが、周期内に排卵を伴わないもの。基礎体温を測ると一相性になる。厳密な意味での月経とはいえず、特に短期間に繰り返す頻発月経だったり不正周期のランダムな出血だったり、あるいは月経とも呼べない程の過少月経だったりする場合は、不正出血の一種として扱うことも多い。
無月経
原発性無月経
18歳の誕生日までに初潮を見ないこと。染色体異常や性分化疾患、内分泌器系の異常などで起因することが多い。16歳を過ぎても初潮を見ない場合、婦人科を受診することが望ましい。
二次性無月経または続発性無月経
初潮後ある程度月経を経験した女性の月経が3か月以上なくなること。妊娠した場合には当然ながら続発性無月経となる。また無理なダイエットや拒食症、過度のスポーツなどでやせすぎた場合にしばしば起こりうる。
月経発来異常
早発月経 (premature menstruation):10歳の誕生日より前に初経を迎える
遅発月経 (delayed menstruation):16歳の誕生日より後に初経を迎える
月経困難症(生理痛 dysmenorrhea)
月経期間中、痙攣のような腹痛を感じたり、腰が砕けそうな痛みを感じたり、足が痺れたり、身体が麻痺したり、下痢・悪心があったり、日常生活に支障をきたすような不調が起こること。若い女性に多い。妊娠経験後、痙攣性の腹痛を感じなくなる場合も少なくない。
月経前症候群・PMS (premenstrual syndrome)
多くの女性は月経前数日、様々な不快を感じる(個人差はある)。腰痛・腹痛・頭痛・むくみ・悪心・食欲不振・乳房の緊張など。また精神的に不安定になって、落ち込んだり怒りっぽくなったりすることも多い。黄体ホルモンの影響によると考えられる。
月経中の性行為
月経中の性行為はタブー視されていることが多いが、血液の流出に対処できるのであれば行為自体に問題はない。しかし、月経中の性行為では妊娠しない、というのは俗説であるため、妊娠を避ける場合は通常通り避妊が必要となる。また、子宮頸部が広がっているため、子宮内に細菌が入ったり、性行為感染症に罹患しないように清潔にすることを心掛ける必要がある。上記のリスク以外には、オーガズム時の筋収縮によって月経の終わりが早まる、行為時に出されるホルモン(オキシトシンなど)が月経時の苦しみを和らげるなどのメリットがあるとも言われている。一般的に月経中セックスは出血を伴うためストロベリーセックスと言われる。
引用元:ウィキペディア
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